糖尿病治療のひとつに食事療法がありますが、食事療法は治療の第一歩と言っても過言ではありません。
このページでは、糖尿病治療における食事療法の基本や、意識すべきコツ・ポイントについてご紹介していきます。
ぜひ最後までご覧いただけるとうれしいです。
糖尿病食事療法が大切な理由
糖尿病において、なぜ食事療法が大切なのでしょうか?
糖尿病治療の目的は合併症の予防。
最適な食事を摂取することにより、インスリン(血糖値を正常に保つホルモン)を分泌している膵臓の負担を軽減し、血糖値をコントロールすることが合併症予防に繋がるとされるため、「食事療法」が重要とされているわけです。
糖尿病の症状は?自覚しにくい糖尿病のサイン&初期症状糖尿病食事療法のポイント
糖尿病の食事療法にはポイントがあります。大きく3つに分けて確認していきましょう。
バランスの良い食事を心掛ける
食事療法のポイントひとつめは、バランスの良い食事を心掛けることです。
主食(ごはん、麺、パンなど)やメインのおかず(肉や魚)だけでなく、小鉢などの副菜も合わせてさまざまな食品をを摂れるようにすると良いでしょう。
肉・魚・卵・野菜・大豆製品・乳製品・きのこ・海藻など、その日1日の献立の中でバランスを見てくださいね。一般的に1日30品目が理想とも言われますので、意識してみてはいかがでしょうか。
難しく考えすぎずとも、「丼物だけ」「おかずがメイン1品のみ」など極端な食事を避けることだけでも、バランスの良い食事に近づけることができます。
また、肉が好きな人は意識して魚を多めに、ごはんが好きで普段からおかわりをする人は、ごはんを1杯にしてそのほかのおかずを摂る、というような考え方も良いでしょう。
糖尿病や糖尿病予備軍だからといって絶対食べてはいけないというものはありませんから(高血圧がある場合は減塩が必要、合併症が進行した場合は制限が必要になる場合もあり)、過剰摂取に気をつけながらまんべんなく食べることを心掛けましょう。
適切な食事量&カロリーを守る
適切な食事量を守ることも重要です。
適切な量ですから、過食はもちろんNGですが、極端に減らす必要もありません。
毎回の食事で自分にとって多すぎず少なすぎない量を摂取していくことが大切です。
単純に「量」だけではなく「カロリー」にも意識を向け、高カロリー(高脂質&高糖質)なものばかりにならないように気をつけるようにしましょう。
1日3食、できるだけ同じ時間に
食事療法に取り組む際は、1日3食食べることを意識しましょう。
よく朝食を抜くという方もいらっしゃいますが、欠食はできるだけ避けてください。空腹の時間が長くなるほど、栄養を蓄えようとする働きが強くなって肥満に繋がりやすいという説もあります。
毎日できるだけ同じ時間に食事を摂る習慣をつけることは、極端に偏った食事になることを防ぐことにも繋がります。
完璧な食事内容ではなくてもいいので、まずは規則正しい食事を心掛けるのがおすすめです。
糖尿病食事療法におけるバランスの良い食事
糖尿病療法では、バランスの良い食事が大切。
では一体どのような食事だと“バランスが良い”と言えるのでしょうか?
まずは、炭水化物や脂質、タンパク質やビタミン・ミネラルなどを意識し、偏り過ぎていないかを考えます。体にとって必要な栄養素を過不足なく取り入れることが大切ということですね。
難しい場合は、食卓をカラフルにするのもおすすめ。
揚げ物や肉料理など、茶色いメニューは脂質が多くなりがちと言われています。茶色以外にも、赤・緑・黄など食卓が華やかになるようなメニューを心掛けてみるのも良いかもしれませんね。
加えて味付けもできるだけ薄味にしておくと、塩分過多の心配もなくなるでしょう。塩分を減らす代わりに出汁をしっかりと効かせる、酢や柑橘類の酸味を活用する、スパイスや香味野菜で味を引き立てる、といった工夫もおすすめです。
ただもしかすると、外食が難しいと感じる方がいらっしゃるかもしれませんね。
そのようなときでも「ワンプレートのメニューではなくメイン+主食+汁物のメニューを選ぶ」「定食に小鉢をつける」「ごはんを少なめにする」など、少しの工夫でより良い食事になるはずです。
食事は毎日の積み重ねですから、その時その時できることから意識していきましょう。
糖尿病食事療法における適切なエネルギー量
糖尿病の食事療法において、適切なエネルギー量の目安とされているものがあります。
その数値を求めるには、以下の計算式が使われます。
【1日の適切なエネルギー量(kcal)=目標体重(kg)×エネルギー係数】
まず上記の目標体重というのは年齢などにもよりますが、一般的に「身長(m)×身長(m)×22~25」で求められます。
エネルギー係数は「軽い労作:25~30」「普通労作:30~35」「重い労作:35~」が基準に。
ちなみに軽い労作=ほとんど運動せず座った状態である/普通労作=通勤や家事または軽い運動をしている/重い労作=力仕事やしっかりとした運動をしている、こういった度合いで労作については判断すると良いでしょう。
例えば、身長160㎝の方でほとんど運動をしない方あれば、目標体重が56.3~64㎏、1日の適切なエネルギー量は1408~1920kcalとなります。大まかに計算するとこのようになりますが、このあたりはご自身の活動量を考慮して検討してみてください。
もちろん個人により異なる部分もありますので、心配な方は主治医に相談してみるのがおすすめです。
糖尿病食事療法を実行する際のコツ
糖尿病食事療法を実行する際には、いくつかのコツがあります。
このコツを意識するだけでも日頃の食生活が変わってくると思いますので参考にしてください。
糖質を減らすコツ
食事療法のなかで糖質を減らすコツとして、まず糖質が多めの食材と少なめの食品をある程度理解することが大切です。
例えば、芋類(菊芋を除く)、根菜類(蓮根や人参など)、トウモロコシなど。もちろん砂糖や蜂蜜、主食になるもの(ごはん、パン、麺など)は糖質高め。
葉野菜やきのこ類、海藻類、肉、魚、卵は糖質低めの食品です。各食品の糖質量を理解するほど、糖質過多を予防できるはずですから、興味があればインターネットなどで調べてみることをおすすめします。
また、品数を意識するのも良いでしょう。糖質が高いなと感じるおかず、例えばポテトサラダやかぼちゃの煮物などは、1日1~2品に抑えるだけでも糖質の摂取量は変わってくるでしょう。
他にも、全体的に薄味を心がけるのもおすすめです。ケチャップ、みりん、ドレッシングなど、糖質多めの調味料は少なくありません。
濃い味付けにすると、どうしてもさまざまな調味料をしっかり効かせたくなりますが、薄味にすれば糖質量も減らせる可能性大。糖質だけでなく塩分なども控えられます。
脂質を減らすコツ
脂質を減らすには、揚げ物やサラダのドレッシングに気を付けることが必要です。
揚げ物を食べる頻度を減らしたり、どうしても食べたい場合はできるだけ素揚げや唐揚げなど、衣が薄い揚げ物を選ぶようにしてください。
同じ揚げ物でも、天ぷらやフライは衣が厚くその分脂質も多くなってしまうのです。
また、サラダは一見ヘルシーに思えますが、ドレッシングは脂質が多いので注意が必要。少量ずつ使うように意識しましょう。
肉や魚に関しては脂質の少ない部位(サーロインや豚バラ肉、大トロは脂質が多い)を選んでくださいね。
空腹感を緩和するコツ
食事療法で大敵とも言えるのが空腹です。
この空腹感を緩和するには、よく噛んでゆっくりと食事を摂ることが重要。
出来れば汁物や野菜・きのこ・海藻から食べるようにし、食事のタイミングも規則正しい時間を意識することで空腹を感じる機会を少なくすることができるでしょう。
血糖値を意識した食事には桑茶もおすすめ!
糖尿病の食事療法にはいくつかのポイントやコツがあることがお分かりいただけたと思います。
一度に全部、完璧にこなそうとすると、ストレスも大きくなってしまうはず。
まずはできそうなことからひとつずつ。また少し頑張って続けることを意識しましょう。
ご紹介した糖尿病の食事療法のほかにも、血糖値ケアに役立つ桑茶を食事とともに飲むようにするのもおすすめです。
お茶を飲むだけなら特に難しくないと思いますので、普段の水やお茶を桑茶に置き換えてみませんか?
できるだけ負担を感じない形で、食事療法に取り組んでみてくださいね。
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